愛犬が抱える「心のサイン」 : もしかして、うちの子も自閉症・ADHDのような特性を持っている?

アメリカ生活情報

こんにちは! 「アメリカ犬暮らしガイド」犬の管理栄養士 “たえか” です。
愛犬がハッピーに暮らせるように、食と健康のお話を中心にロサンゼルスからお届けしています。

「しつけの問題」じゃないかも? 愛犬が見せる「困った行動」のヒミツ

「うちの子、どうしてこんなに落ち着きがないんだろう?」「何度言っても、影を追いかけるのをやめてくれない…」

家族である愛犬が、私たちには理解できない行動を繰り返していると、飼い主さんは不安になりますよね。
「私のしつけが悪いのかな」と、ご自身を責めてしまうこともあるかもしれません。

でも、安心してください。
実は今、欧米の動物行動学の研究では、その強迫的な行動や極度の多動は、単なるわがままや悪い癖ではなく、人間の自閉症やADHD(注意欠陥・多動性障害)に似た、脳や神経に関わる発達の特性かもしれませんよ、ということがわかってきているんです。

この記事では、英ノッティンガム・トレント大学のジャクリーン・ポイド博士らの研究をヒントに、アメリカで知っておきたい愛犬の「心のサイン」を優しく読み解き、私たちがこれからどう接していくのがベストなのかを一緒に考えてみましょう。

犬の「自閉症・ADHD」に似た、気づいてあげたい3つの行動サイン

この研究が教えてくれるのは、犬の行動が「病気」ではなく、「脳の特性」として現れている可能性があるということです。愛犬がこれらのサインを見せていないか、そっとチェックしてみましょう。

止めたくても止まらない… 強迫的な繰り返し行動「常同行動」って?

行動の具体例
テイル・チェイシング(尻尾追い)



フライト・チェイシング(光追い)



過剰なグルーミング 
ワンちゃんの気持ちに寄り添うヒント
自分の尻尾をまるで獲物のように追いかけてグルグル回り続けます。ブルテリアなど多く見られ皮膚を傷つけるほど執拗になることもあります。

壁の影や光の反射などを強迫的に追いかけたり噛みつこうとします。興奮を助長するため、レーザーポインターでの遊びは控えましょう。

身体の特定の部分をひたすら舐め続け、舐性皮膚炎を起こしてしまうほどになることがあります。

気持ちのブレーキが効かない… 制御不能な多動性・衝動性

人間でいうADHDのように、「気持ちのブレーキ」がききにくく、落ち着いて行動をコントロールするのが難しい状態です。

  • いつも動き回っちゃう お家の中でも常にソワソワ、ウロウロし、ゆっくり休むのが苦手です。
  • すぐ飛びついちゃう、吠えちゃう: 指示を待てず、すぐに飛びつく、飛び出すといった行動を衝動的に起こします。
  • 集中力が続かない : トレーニング中や遊びの途中で、簡単に気が散ってしまい、すぐに興奮度が上がってしまうことが多いです。

みんなと仲良くしたいけど… 社会的な交流が苦手

他の犬や人とのコミュニケーションの取り方に、ちょっとした「ズレ」が生じている状態かもしれません。

  • アイコンタクトの回避 : 目を合わせることを極度に嫌がる、または逆に見つめすぎて威嚇的になることがあります。
  • 遊び方が一方的 : ドッグランなどで、他の犬への挨拶や遊びの誘い方が、ちょっぴり強引で、交流が成立しにくい。
  • 変化が苦手 : 散歩ルートやご飯の時間など、いつものルーティンが少しでも変わると、強く不安を感じてパニックになってしまう。

叱る前に知っておくべき「神経生物学的アプローチ」

なぜアメリカでこの研究が大切にされるの?

アメリカの動物福祉の世界では、愛犬が示す常同行動や多動を「脳の特性」として捉え、「叱る」ではなく「ケアと治療」でサポートすることが主流になっています。ポイド博士らの研究は、この行動を「医学的な問題として理解する大きな支えとなります。

これは、何の意味もなさそうなのに、同じ動作をパターン化して何度も繰り返してしまうことです。不安や葛藤、脳機能の偏りから生じると考えられています。

専門家と連携する:知っておきたいアメリカの行動医学

もし愛犬に上記のサインが多く見られる場合、アメリカでは「しつけ教室」ではなく、より専門的な「行動獣医学」の専門家に相談するのが一般的です。

行動獣医師 (Veterinary Behaviorist: V.B.) とは?

  • 獣医学の学位を持ち、さらに動物の行動医学の専門的な訓練を受けた獣医師です。
  • 行動の問題を「病気」「医学的な問題」として診断し、環境改善だけでなく、人間と同様に投薬治療(抗不安薬など)も選択肢の一つとして提供することができます。

「クスリ」を使うのはかわいそう? アメリカの考え方

薬は、行動を抑え込むためのものではありません。
脳内のセロトニンなどのバランスを整え、不安や興奮を和らげることで、学習できる状態に愛犬を「リセット」することが目的です。これは、常に不安や衝動に苛まれている愛犬の心の苦痛を取り除き、生活の質(QOL)を上げるための、愛情ある選択だと考えられています。

💡アメリカで行動治療薬を処方してもらうには、まずかかりつけの獣医師に相談し、必要であればBoard Certified Veterinary Behaviorist(専門の認定を受けた行動獣医師)を紹介してもらうのをおすすめします。

愛犬のウェルフェアを高めるためにできること

最後に・・・
愛犬の「困った」は「頑張っている」証拠かもしれません

大切なのは、「どうにかしてやめさせる」ことではなく、「どうすればこの子の心が楽になるか」を考えてあげることです。

  1. 相談先が変われば、未来が変わる: まずはかかりつけの獣医師に相談し、その後、専門の“行動獣医師(Veterinary Behaviorist)” “認定トレーナー”を紹介してもらいましょう。
    専門家に頼ることも、愛情のひとつです
  2. 環境エンリッチメントで脳をサポート: 刺激の少ない安心して休める場所(セーフティゾーン)を作ってあげましょう。
    また、コングや知育おもちゃなど、ポジティブに集中できることを取り入れることで、脳のエネルギーを建設的な方向へ向けてあげましょう。

あなたの優しい気づきが、愛犬の心の平穏へとつながっていきますように…

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。 愛犬とのハッピーライフのヒントにしてもらえればうれしいです。

参考文献・情報源

この記事は、犬の常同行動と発達障害の可能性に関する学術研究に基づいて作成されています。

Boyd, J. (2024). “Autistic dogs? Neurodiversity in our pets and what it might mean for us.” The National Tribune.(ボイド博士による研究解説記事)
URL: https://www.nationaltribune.com.au/autistic-dogs-neurodiversity-in-our-pets-and-what-it-might-mean-for-us/
American College of Veterinary Behaviorists (アメリカの行動獣医学の専門家制度に関する情報)
URL: https://www.dacvb.org/


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